絵草紙風絵本について
ここでは、「絵草紙風絵本」(「えぞうしふうえほん」とよみます)について、お話させていただきます。
まず、「絵草紙」について、この言葉は「絵双紙」とも書きまして、辞書などでお調べいただくと、いくつか意味がございますが、その中で「絵草紙風絵本」の「絵草紙」は、次のような意味になります。
江戸時代に書かれた、絵と文で構成され読み物
「草双紙」とも呼ばれたこの読み物は、「赤本」「黒本」「青本」「黄表紙」「合巻」と、表紙の色や内容で分けて呼ばれますように、様々な特徴を持って作られていきました。
江戸時代を通じ、長い間、親しまれていた「絵草紙」ですが、その後、明治時代の半ばには出版されなくなり、今では、その当時を研究したり、愛好する人が知るぐらいの、限られたものになっているようです。
この「絵草紙」の中で、縁あって「黄表紙」と出会い、その機会を重ねるうち、その独特の面白さや大らかさに興味を覚えてきて、何より手の平にのせた「和本」に、温かさを感じました。そして、このことを広く伝えられたら……と思いました。
ただ、現代に残る「絵草紙」の多くは貴重な資料で、気軽に手に触れることは、なかなか難しいのが現状です(近年では、多くの所蔵機関がネット上で「絵草紙」を公開しておりますので、直接ではないものの、見ることは出来ます)。また、「絵草紙」は「くずし字」と呼ばれる文字で書かれていること、そして、複雑な趣向で描かれることがあり、それを読み解く作業を要します。このことから、「絵草紙」は、はじめて知る方にとって、ハードルの高さを感じるのではないかと思いました。
こうした思いから、皆様に「絵草紙」を知っていただき、さらに、興味を持つきっかけにしていただければと、「絵草紙風絵本」を創り、さらに、その作り方を広くご案内することに至りました。この名称は、「絵草紙」にならいながらも、ハードルの高さを感じないものにするために、作り方、材料ともに、現代のものにしたところに拠ります。
末筆ながら、どうぞ皆様、それぞれのページをご覧になられまして、「絵草紙風絵本」に親しんでいただき、「絵草紙」の世界の入口へ、お進みいただけましたら幸いです。